誰も語らなかったTOEICの不都合な真実


TOEICには様々なタブーがあります。

今日はこれまで、特にTOEIC指導者やTOEIC本の著者が
決して語ることを許されていなかったこと、
「TOEICの不都合な真実」について書きたいと思います。


満点講師のほとんどはTOEIC参考書をやっていない

TOEIC満点講師の中で、TOEIC参考書を中心に勉強して、
700点、800点、900点、950点、満点という階段を上っていったという人は
100人中、おそらく5人いるかどうかです。

ほとんどの先生たちは、TOEIC対策ではなく、
例えば、英字新聞や洋書をたくさん読んだり、
ニュースを聞いたり、洋画やドラマを見たり、NHKのラジオ講座を活用したりして、
しっかりした英語力を付けるということを最初にされています。

つまり、TOEIC対策とは関係ないアプローチによって
元から十分なリスニング力やリーディング力を身に付けているのです。

このような場合、試験を複数回連続で受験すれば、
それほど苦労せずに満点を取れます。

中には、完全にTOEICに特化した対策を中心にスコアを伸ばし、
最終的に満点を取ったという先生もいますが、絶対的に少数派です。

自分自身は学習者のときに、TOEIC以外の勉強をたくさんやって、英語力を伸ばしたとしても、
指導者としては、TOEIC対策をやることしか勧めにくいという事情があります。

そうなんです。TOEIC指導者は、
「本音」と「建前」を使い分けなければならないのです。

というのも、
TOEIC対策以外のことをやって英語力を付けることが大事
という発言は、概して、生徒さんからの受けが物凄く悪いからです。

TOEIC講師がこれを言ってしまうと、プロフェッショナルではない感じになり、
「この先生、大丈夫かな?」と思われる危険性があります。

「スコアアップに直結することを教えて欲しいのに、何を遠回りのようなことを言っているんだ!」
と憤慨する生徒さんすらいるかもしれません。


満点講師の英語力の95%以上はTOEIC教材以外から来ている

先ほどの話の補足になりますが、
僕自身も含めて、満点講師たちの英語力を構成するものは、
TOEIC教材で学んだ知識ではありません。

もちろん教える立場になってからは、多くのTOEIC教材に触れることになります。
ですが、それ以前にすでに満点を取っているのです。

つまり、満点講師たちは、
TOEIC教材をたくさんやっているから、満点を取ったわけではない
のです。

僕個人の話をすると、
僕が読んできた英語の99%以上は、TOEICと全く関係ありません。
英字新聞や英語雑誌、ネットの英文記事が25%、洋書が40%、
もらったメールやメッセージが10%、洋画やドラマの英語字幕が20%くらいで、
公式問題集をはじめ、その他のTOEIC教材の英文が占める割合というのは、
0.5%~1%くらいだと思います。

僕の場合はちょっと極端かもしれませんが、
他の満点講師たちの状況もそれほど違わないはずです。

これまでに読んできた英文に占めるTOEIC教材の割合というのは、
1%~5%くらいの範囲に収まるはずです。

一方、大半のTOEIC学習者はどうでしょうか?

下手すると、
読んでいる英語の80~90%が
TOEICのパート7の英文ということはないでしょうか。

「英語の勉強=TOEIC対策」という場合には、
このような状況になっていても不思議ではありません。

これはリーディングだけに限らず、リスニングでも同じです。

多くのTOEIC学習者は、TOEICのリスニングセクションの英語以外はほとんど聞いていない
という状況に陥りがちです。

一方、満点講師たちが聞いてきた英語の90%以上は
TOEICとは関係ない英語なのです。

生身の人間が話す英語も含めて、TOEIC教材以外の英語を聞いて(=概して、TOEICよりも難しい)、
英語を聞き取る能力を手に入れた上で、TOEICのリスニング問題をやるので、
はじめから「理解できる⇒解ける」という状態なんです。

TOEICの放送文を聞いても、「理解できない⇒解けない」
という状態から始める人たちとは違うんです。

僕が、「TOEIC対策だけしていると、英語力が上がりにくい」と考える一番の理由は、
読んでいる英語のほとんどが、TOEICリーディングセクションの英文で、
聞いている英語のほとんどが、TOEICリスニングセクションの放送文だとしたら、
それは、「本当の意味で英語に触れているとは言えない」からです。

これは、今の日本ではとても一般的な現象になっていますが、
世界的には他に例がなく、極めて不自然な状況です。

このような偏った英語への触れ方だけをするというのは、
英語力が付きにくい、非合理的、非効率的な方法と言わざるを得ません。

このように、
自分の英語力の95%以上を構成しているのはTOEIC教材ではないから、
本当はTOEIC対策以外のことをやることも勧めたいというのが
多くの指導者の本音なんです。

これは、TOEICに限らず、その他の英語試験対策や大学受験英語においても同様です。

しかし、TOEIC指導者としての建前としては、
生徒や学習者には、逆に95%以上の時間や労力をTOEIC教材に費やすように勧めざるを得ない。

これこそが、「TOEICの不都合な真実」なのです。

この背景には、もう一つの裏事情があります。


人々がTOEIC対策だけしてくれる方が好都合なワケ

自分自身がTOEIC対策書を出版している先生の場合は、
「なるべく多くの人にTOEIC本を買ってもらいたい」
という強いインセンティブがあります。

自分でTOEICの本を書いておきながら、
「TOEIC以外の勉強をもっとやりましょう!」などと言ったら、
矛盾してしまいます。

そういう僕自身も、
「澤トレ」(「TOEICテスト最強攻略PART1&2」)というTOEIC本を出版しているので、
本来ならば、世の中の人がTOEIC対策だけをして、
自分の本も含めて、TOEIC本が売れ易い状況になってくれた方が、懐は潤うのかもしれません。

でも、僕の場合は、「日本人にもっと英語が出来るようになってほしい」という想いから、
澤トレを書いたので、実はちょっと事情が違います。

スコアアップのためだけでなく、「使える英語」も同時に身に付ける方法を世に問うために、
一番売れないと言われている、パート1&2対策の本を書くことにしました。

既存のTOEIC対策のあり方に一石投じる試みはどうなったのか?というと、
僕が池に投げ込んだ石は、多少の波は立てたものの、
それほど広範囲には広がっていません。(少なくとも、今のところは)


TOEIC界での僕のポジションはどうなってしまうのか?

このような不都合な真実を暴露してしまうと、
僕がTOEIC業界全体を敵に回してしまうのではないか?
と心配された方もいらっしゃるかもしれません。

でも、僕はTOEIC指導者/英語教育者として、
本当のことを言える勇気のある人間でありたいと思っています。

実は、これまでも
「TOEIC対策だけでなく、もっと英語力が付く別の取り組みもした方がよい」
というメッセージを発信する中で、Twitterなどで散々叩かれてきました。

「学習者に自分の価値観を押し付けている」
「TOEICが嫌いなのに、TOEICを教えてるなんて、けしからん」
などと、あることないこと言われて、最近は完全に萎縮してしまっていました。

TOEICが趣味で楽しくやっている人たちに水を差すつもりはありません。

TOEICのように、努力した分だけスコアが上がるというのは、
純粋に嬉しいことですし、そのようなゲーム感覚で楽しむのも一つのあり方だと思います。

実際、僕も生徒さんのスコアアップを応援する立場にいるので、
多くの人がスコアアップにかける想いというのは理解しているつもりです。

ただ、その一方で、僕が本気で信じているのは、
日本人はTOEICのスコアアップだけに留まらず、
もっと上のレベルを目指して、英語を習得することもできる、
とても優秀な人たちであるはずだ

ということなんです。

TOEICのスコアアップも「英語学習の入口」としては良いのですが、
それで終わってほしくないんです。

でも、結果的には、
往々にして、それで終わってしまっているのが現状なのです。

TOEICの目標スコアを取った後に、
次のステージに本気で向かっていくお手伝いをするのが
僕の英語指導者としての真のミッションです。

だから、
スコアを取ってからが本番なのです。

実際、TOEICで目標スコアを達成した生徒さんの多くが、
本質的な英語力を伸ばすのにとても苦労しています。

英語を自在に使えるようになるには、
TOEICでスコアアップするよりも何十倍もの努力を要します。

つまり、
目標スコアを取るのは決してゴールではなく
英語習得への果てなき道のスタートだということです。


TOEIC界でのポジションの話に戻しますと、
僕はこのようなTOEICのタブーを言うことが許されるような
立場を築いていきたいと思っています。

なぜなら、「TOEICの不都合な真実」を知ってもらうことが、
多くの英語学習者にとって大切なことだと信じて疑わないからです。


最後までお読みいただき、ありがとうございました!
応援よろしくお願いいたします m(__)m

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<関連記事>
「英語習得を目指すTOEIC対策とは?」

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コメント

賛成です!
はじめまして
吉田と申します。
興味深く読ませていただきました、ごもっともです!

私も、TOEIC 800点、900点は基礎固めだと思いました。920点取ってやっと基礎ができたかな と思いました。 先生のブログも参考にさせて頂いて、学習しました。 
その後、多くの人にも、例えばTOEICを使って先ず基礎固めをしてもらいたくて、私もブログを書いています。
TOEICは、良く使われる語彙が限定され、分かり易い文章で、スピードを身につけることを要求する 基礎固めとして格好の学習対象だと感じています。 
英語習得への果てなき道のスタート。その通りだと思います!
そんな事実があったとは
はじめまして!Aryと申します^^

英語を勉強するきっかけとして、はじめにTOEICを利用するのは、有用だと思っています。英検はスコアの区切りがないこと、TOEFLは受験料も高く、様々な知識も必要なことから、TOEICは取っ掛かりとしては良いですよね。

ただ、TOEICはある程度の点数(900点ぐらい?)を取り終わったら、サクッと本格的な英語の勉強にうつるのが良いですね。全く同感です。

僕はまだ英語を勉強し始めたばかりですので意見出来る立場ではないですが(^^;;
素晴らしい
澤田さん
いつも楽しく拝読させて頂いております。
以前から、澤田さんは、日本人の英語力向上に資するという志において、他の講師の方々とは明らかに一線を画しておられるなと思っており、陰ながら応援致しておりましたが、今回の記事にもいたく感服致しました。是非、今後更に英語界の良心としてのご活躍を祈念致しております。
ちなみに、今年のICEE会場でのご活躍も澤田さんの後ろで見学させて頂いておりました。Shin
Re: 賛成です!
吉田さん

はじめまして。コメントありがとうございます!

そうですね。「TOEICを使って基礎固めをする」という感じですよね。

その先があるということを示すのが、指導者としては大事だと思います。

でも、学習者にも色々な事情があるので、難しい面もありますね。


> はじめまして
> 吉田と申します。
> 興味深く読ませていただきました、ごもっともです!
>
> 私も、TOEIC 800点、900点は基礎固めだと思いました。920点取ってやっと基礎ができたかな と思いました。 先生のブログも参考にさせて頂いて、学習しました。 
> その後、多くの人にも、例えばTOEICを使って先ず基礎固めをしてもらいたくて、私もブログを書いています。
> TOEICは、良く使われる語彙が限定され、分かり易い文章で、スピードを身につけることを要求する 基礎固めとして格好の学習対象だと感じています。 
> 英語習得への果てなき道のスタート。その通りだと思います!
Re: そんな事実があったとは
Aryさん、

はじまして。

そうですね。
確かに、TOEICを英語を勉強するきっかけという位置付けにするのはいいですね。

僕が指導している生徒さんもそのようなパターンになることが多いです。

最初はTOEICのスコアを上げることが主な目的だったのが、
目標スコアの達成とともに、次第に英語そのものに目覚めていき、
今では使えることを目指して頑張っています。
(↑一つのセンテンスに「目」がいっぱい。。。w)



> はじめまして!Aryと申します^^
>
> 英語を勉強するきっかけとして、はじめにTOEICを利用するのは、有用だと思っています。英検はスコアの区切りがないこと、TOEFLは受験料も高く、様々な知識も必要なことから、TOEICは取っ掛かりとしては良いですよね。
>
> ただ、TOEICはある程度の点数(900点ぐらい?)を取り終わったら、サクッと本格的な英語の勉強にうつるのが良いですね。全く同感です。
>
> 僕はまだ英語を勉強し始めたばかりですので意見出来る立場ではないですが(^^;;
Re: 素晴らしい
Shinさん

コメントありがとうございます!

もったいないお言葉、大変恐縮ですが、そう言っていただけると、とても励みになります。

ICEEにも見学にいらしていたんですね!

今年はぜひ会場でご挨拶させてください。

今後ともよろしくお願いいたします。


> 澤田さん
> いつも楽しく拝読させて頂いております。
> 以前から、澤田さんは、日本人の英語力向上に資するという志において、他の講師の方々とは明らかに一線を画しておられるなと思っており、陰ながら応援致しておりましたが、今回の記事にもいたく感服致しました。是非、今後更に英語界の良心としてのご活躍を祈念致しております。
> ちなみに、今年のICEE会場でのご活躍も澤田さんの後ろで見学させて頂いておりました。Shin

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