書ければ、もっと読める(2)

今回の記事では、「自分でも英文を書けるようになれば、もっとスラスラ読めるようになる」ということについてお話します。

本当の意味で英語が読めるというのは、読んでいる文章を身近なもの、つまり自分でも使える言葉であるという感覚を持って読めている状態だと思います。

言い換えれば、「この英文、書こうと思えば自分でも書ける」という状態のことです。
(そこまで行かなくても、それに近い感覚があるということです)

例えば、日本語で考えた場合、僕が書いたこの記事をスラスラ読んで理解されていると思いますが、それはみなさんにも多かれ少なかれ同等の日本語の文章作成能力があることと関係しています。
実際、僕と近いレベルで日本語を書く力のない小学校低学年の児童には、この文章を理解するのは難しいでしょう。

大人の場合、日本語では読む力と書く力をある程度バランスよく備えているものですが、外国語である英語となると、読んで理解できる英文と自分でも書ける英文の間には相当な隔たりがあるという人がほとんどだと思います。

この差を埋めていくことによって、英文を読むのが楽になるというわけです。
(僕と同等の日本語の文章力のあるみなさんが、この文章を容易に読めるのと同じように)

ここで恐縮ですが、僕自身の話をさせていただきます。

僕が英文を読む力が一番伸びたと感じたのは、日本語を英訳する翻訳者を目指して勉強していた時期でした。
どんな日本語でも自然な英文に翻訳できるようになるためには、単語や慣用表現の使い方や文章構造などをたくさんストックしておく必要があります。

そのために、英語の記事やペーパーバックなどを読んでいるときには、「なるほど、こうやって表現するのかぁ」「この言い方はうまいなぁ」と感心しながら、自分では思いつきそうにない、ネイティブライクな言い回しに下線を引いて、書き方や修辞法を盗むようにしていました。

能動的に使うことを意識した読み方をするようになると、自分でもネイティブのライターのように英文を組み立てる感覚がだんだんと身についていきます。

もちろん、読んだすべての英文でこの作業をする必要はないと思います。
自分でも使いたいと思う表現がたくさん入っていると思った記事や問題の英文だけ選んで行えばよいです。

このような意識を持ってリーディングの勉強をしていると、「英文を読めば読むほど、より上手く書けるようになる」という好循環が生まれていきます。

さらに、そのようにして、普段読んでいるネイティブが書く英文と自分でも書ける英文を近づける努力を重ねていくと、どこかで英文を読むのがぐっと楽になる時が来ます。

読んでいる英文と自分が書ける英文の隔たりがそこまでなければ、自分が書いた文章を読むような感覚になるので、当然スラスラと読めるようになるというわけです。

あまりにも高度な話をしていると思われるかもしれませんが、これはTOEICのすべてのリーディングパートで重要な考え方です。

言葉を換えれば、「使えれば、解ける」とも言えます。

語法レベルの話だともっと分かりやすいのではないでしょうか。

例えば、provideという動詞を、読んでわかるというレベルではなく、自分でも正しく使えるようにしておけば、パート5などで語法を問う問題が出てきたときに、一瞬で答えがわかります。

provideは目的語に人を取るか、物を取るかによって、前置詞の組み合わせが違うことがポイントです。

「人に物を提供する」は、provide 人 with 物 という形が一番使われますが、
provide 物 for 人 という形で使われることもあります。
(まれにgiveと同じように、provide 物 to 人という形も見ますが、非標準です)

この語法を使って、自分でもセンテンスを作れるようにしておくことが理想です。
例えば、次のような例文を作ることができます。

「このサイトは、読者にTOEICの勉強の仕方に関する役立つ情報を提供します。」
This site provides readers with useful information about how to study for TOEIC.

「このサイトは、TOEICの勉強をしている人に効果的な学習法を提供します。」
This site provides effective learning methods for those studying for TOEIC.
(those studying for TOEIC = those who are studying for TOEIC)

ちなみに、「TOEICの勉強をする」はstudy TOEICではなくstudy for TOEICです。
study TOEICは僕のような人がする行為で、「TOEICを研究する」という意味になってしまいます。
TOEICをthe TOEIC testと表現する人もいます。

このprovideの語法が自分でも使えるくらいに身近なものになっていれば、試験で出てきたときに即答できるはずです。

TOEICの勉強を通じて、このように「英語が使える」という状態を目指すことが、どのレベルの学習者にとっても大切なことであると思います。
というのも、実用的な英語の習得を目指さない勉強法では、いずれスコアも頭打ちになるからです。
(澤田塾でも、この点を強調して、スコアアップだけに終わらない指導を常に心がけています)

次回の記事では、能動的に使うことを意識した、TOEICや英語の勉強法の具体的な手順についてご紹介いたします。


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コメント

ライティング学習について
初めまして。
いつも有益な情報ありがとうございます。
英語学習の参考にさせていただいております。

澤田先生は日英翻訳もされているので、ライティングの勉強についてお尋ねしたいですが、ライティングが上手くなるためにはどのような勉強をすれば良いでしょうか?

澤田先生は能動的に英文を読む以外に、大学入試とかの和文英訳の参考書で勉強したりされましたか?
Re: ライティング学習について
Yukoさん

コメントありがとうございます。
返信が遅くなってしまい、申し訳ございません。

「ライティングがうまくなるためにはどうすればよいか」というのは、long storyになりそうでしたので、ちょっと返答に困っておりました。

まず、僕自身は大学受験用の和文英訳の参考書などは使ったことがありません。
プロの翻訳者を目指すという観点からすると、参考書の訳文はあまり信頼できそうにないからです。

ただ、英作文の教材としては、松本享の参考書は評判がよく、これを全巻やったら相当な力が付くのではないかと思いますが、僕自身は使ったことがないので、何とも言えませんが。
http://www.amazon.co.jp/dp/475620001X

今後、澤田塾で本格的に英語の書き方を教えるクラスも開講しようかと考えておりますので、その際には、このような参考書についても研究しようと思っております。

僕自身がどのようにして英語を書く力を身につけたかについてですが、これはコメントで書くには長くなり過ぎてしまいますので、やったことだけ箇条書きさせていただきます。

1. ペンパルサイトを通じて知り合った外国人と1日に何通もメールの交換をした(大学3年から数年間)

2. 5,000個くらい例文を暗唱した(和訳から英文を言う&書く)&現在も継続中

3. 気に入った記事を書写した(500個以上)

4. 日英翻訳を学ぶために3年間学校に通った
(国際研修室にて、翻訳英語、日英翻訳コース、日英放送翻訳コースを受講。優秀な成績で修了し、翻訳者として登録される)http://www.nhk-g.co.jp/kenshu/course.htm

5. 多読を通じて、潜在意識の中に無数の表現や修辞法を記憶し続けた

この中で、一般の学習者の方にもやっていただきたいので、1番の例文暗唱、3番の書写、5番の多読です。

こういった努力を通じて、自分の中にお手本となる英語の蓄積を増やしていかないと、なかなか自然な英文が書けるようにはなりません。

参考になりましたら幸いです。


> 初めまして。
> いつも有益な情報ありがとうございます。
> 英語学習の参考にさせていただいております。
>
> 澤田先生は日英翻訳もされているので、ライティングの勉強についてお尋ねしたいですが、ライティングが上手くなるためにはどのような勉強をすれば良いでしょうか?
>
> 澤田先生は能動的に英文を読む以外に、大学入試とかの和文英訳の参考書で勉強したりされましたか?
No title
澤田先生
お忙しい中、お返事いただきありがとうございます。

例文暗唱、多読、書写をして、自然な英語を書けるようになりたいと思います。
わざわざお返事くださりありがとうございます。

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